支部の必要性

 鋳造業は、素形材として重量のあるまだ付加価値の少ない第一段階の部品であること、鋳造でなければ作ることのできない機械部品を必要とする顧客が存在すること、重量のある製品の運搬コストと品質管理上、顧客との距離が近い事が望ましい事、高温で溶解した金属を鋳型に鋳込む製造方法という制約から必要となる純度の高い原材料・副資材・中子・製造過程で発生する産廃の処理・巨大なエネルギー・鋳造に特徴的な特殊設備の供給と機械電気電子が複合したメンテナンス・高度な技術と技能を持つ人材の育成と供給とレベルアップ体制が必須で、このような産業としての鋳造の重要性と必要性と特徴を理解し、受け入れ、支援してくれる地域・行政の存在があって初めて成り立つ産業です。

 鋳造産業は、鋳造とその顧客を含めた関連産業の高度な集積のある地域でなければ成り立たない産業なのです。

 この産業特性を持つために、鋳造業は地域における鋳造関係者の密接な連携が欠かせない業種であり、鋳造に関係する多様な産業や工学分野や行政の関係者が地域で連帯し、鋳造業の発展のために協力することには極めて重要な意義があります。

 鋳造産業に関係する経営者の地域における連帯・連携の中核となる組織が日本鋳造協会の地方支部です。

支部設立方針に至る経緯

 日本鋳造協会は、設立以来東京中心の活動と合わせて地域での活動が必要との初代会長以来の方針により、支部結成を推進してきました。

 中国四国地域は、広いこと、瀬戸内海を挟んで中国山脈と四国山脈に分断された地域環境にあることなどから、従来は経済的に一体感のない業界状況にありました。このためもあり、すぐに支部を結成する動きにはこれまでなっていませんでした。

 当地の鋳造業は長い歴史を持っており、大手から中小までの鋳造業者が県別など地域別に組織した鋳造同業組合と、独立系の大手鋳造業と、大都市に本社がある大企業の鋳造部門や鋳造子会社があり、比較的下請け系列色が少なく独立性の高い経営を行っている会社が多い特徴があります。このため、従来は中国四国地域での連帯はあまり意識されませんでした。

<この地域での鋳造業の業界としての動き>
 日本鋳造協会成立前には、鋳鉄組合の全国組織だった社団法人鋳物工業会の事業として西日本鋳物協議会があり、中国四国九州の組合員が対象の毎年1回の親睦会的な催しが、西日本各組合の持ち回りで開催されておりました。

 日本鋳造工学会の中国四国支部は、広島地区の大学関係者と各県の工業試験センターの技術者と鋳造関連企業の技術者が中心になり、YFEなどの活動を含めた研究発表会・工場見学会を、中国四国の各地で開催しています。また、5年に一度回ってくる地方開催の本部の大会は、当地の鋳造業関係者も協力する大事業となっております。

<鋳造カレッジ広島>
 日本鋳造協会主催の鋳造カレッジの広島開催は、日本鋳造工学会中国四国支部の多大なご支援を頂いての事業であり、その実施に当たって中国四国地域や関西・九州地区にいたる幅広い地域の鋳造関係者の支援を頂いています。しかし、現状ではカレッジを支える産業界の支援体制は必ずしも十分ではなく、広島カレッジの実施支援の中核である広島組合の大田理事長からは、協会支部の必要性とその早期立上げの要請を頂きました。

<中国四国支部設立の動き>
 平成21年春のリーマンショック時の中国電力と四国電力への日本鋳造協会と各県鋳造組合共同の電力契約に関する苦境陳情、平成23年秋の鋳造工学会の島根大会をきっかけとする島根県知事主導の平成24年6月の第一回島根県鋳造関連産業振興協議会の開催や、平成21年に始まり4年目となった中国四国地域の鋳造組合合同忘年会の開催、平成24年と平成25年の2年連続の広島での鋳造カレッジ開催などにより、徐々に当地の鋳造業界として支部の必要性の理解と、支部結成の機運が熟してまいりました。

 すでに、東海支部と北陸支部が結成されており、地域の鋳造カレッジの支援や地域の鋳造業関係者の交流や見学会の開催などが順調に行われ、設立してよかったという声を聞いております。先日の東海支部の行事に参加した愛媛組合理事長で協会役員である大亀社長は、東海支部長から「支部結成して本当によかった、地域の活動は企画しやすく多くの方に参加してもらえる、ぜひ中国四国も結成したらよいですよ」とアドバイスを頂いた。

 こうした状況を踏まえ、平成24年12月19日に福山で開催された中国四国の鋳造組合合同忘年会に中国四国地域の鋳造業5組合や鋳造業の方多数が集まった機会を利用し、支部結成について諮ったところ全員の賛同をいただきました。このため、日本鋳造協会の中国四国地域の役員が中心となり支部結成準備委員会を発足させ、早期に支部を結成することとなりました。

支部運営方針

 協会の中国四国支部は、工学会の支部との関係から、対象地域を中国5県と四国4県の合計9県とする。
  中国: 岡山・広島・山口・鳥取・島根
  四国: 愛媛・香川・高知・徳島

 対象地域が広いこと、最初から負担の高い運営は困難と思われることから、当初の支部運営基本方針としては、

1.運営基本方針
 地域の鋳造業関係者の連帯感形成や情報交換と見学研修の場を作ることを目的とし、 そのための顔合わせ・交流に資する行事を中心とする。
年次総会・理事会・講演会・見学会・懇親会を中心行事とし、負担になりやすい事務的な会合はできるだけ少なくする。
2.行事方針
 技術的な研究会・講演会・見学会などは、現行の工学会支部行事への協賛をベースとする。経営改善や交流面での講演会については、適宜検討する。
3.広島カレッジを支援。
 講師・先生方への支援、受講生の派遣と修了者のフォロー、見学その他への協力など
4.連絡・広報方針
 広域で多数かつ多彩な会員のいる組織であることから、事務局負担を軽減するために、連絡等は、電子メール・HP・Faxを中心とし、郵便物など作業負担のかかる方法はできるだけ避ける。
 グループウェアなどで仮想的な会議場所をネット上に持つ方法も広域で情報共有や意見交換が可能です。費用も余りかからないことから今後検討したい。
5.経費
 事務局等経費として、日本鋳造協会本部より年間50万円程度の支援予定。
 行事については、実費を参加者から徴収することでまかない年会費等の負担は避けることを当面の方針とする。

支部設立日程

●平成24年12月19日
 中国四国鋳造組合合同忘年会で支部設立決議
●平成25年1月16日
 日本鋳造工学会中国四国支部常任理事会へ説明
●平成25年1月18日
 中国四国支部設立準備委員会発足
 日本鋳造協会の理事会・賀詞交歓会(東京)で協会役員が集まった機会を利用し、準備委員会発足会合を行う。理事会・賀詞交歓会で中国四国支部結成の動きを口頭報告。
 以後、平成25年7月までの間、設立準備にあたる。
※設立準備の概要
 日本鋳造協会本部と当該地域の会員(正会員・団体会員・団体会員所属の会員、賛助会員)および、日本鋳造工学会中国四国支部役員や当該地域の鋳造に関係する有識者と緊密に連携し、日本鋳造協会の支部規定、支部認定基準に従って、支部規則案、支部組織案、支部事業計画と予算の案を作成し、日本鋳造協会へ支部作成の申請を行い、総務部会・正副会長会・理事会の承認を得て、支部設立総会を開催し支部を設立する。
●平成25年6月~7月
 支部設立総会を開催し、支部を結成する。

中国四国支部設立準備委員会概要

日本鋳造協会の中国四国地域役員で構成する。

委員
 委員長<協会の地区担当副会長>藤原愼二
 委員<正会員>田中保昭、神田芳明、中島基善、岩井宏夫
 <団体会員>佐藤明三、大田喜穂、大亀右問、三好清文
<協会本部>角田専務
事務局〒701-0206 岡山市南区箕島557-4
アサゴエ工業株式会社内 藤原愼二
Tel 086-282-0131 Fax 086-281-4246

関連サイトや予定など

社団法人日本鋳造協会
当地域の鋳造関連サイトマップ
●H25年度の鋳造カレッジ広島は6月開講予定